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Harassment

「あ゛あ?誰がこの始末つけやがんだっ!」
階全体に響くような怒鳴り声に、目の前に立っている二人だけでなく、部屋の隅でコピーを取っていた女性社員までが震え上がる。
巨大なガラスを背景にする唯一の席で書類を叩きつけた男は、当会社の社長令息にして、このフロアを仕切る室長、金剛阿含。
その狭い通路を挟んで垂直に並べられた机の一番近い席に座る俺は、名字が偶然同じだったために彼と兄弟だと思われることがある。
実際、血のつながりのない赤の他人だ。
世界的企業DiamondCorporationに楽には入社できない程度には。


チッと盛大に舌打ちして、阿含が前に並んだ二人を手で追い払う。
「雲水、始末、手伝え」
「…わかった」
人の壁がなくなって、阿含の声が直に通る。
「他のヤツラは邪魔だ」
この一言で、俺以外は残業禁止だ。
阿含は驚異的なスピードで仕事をこなすが、周囲に他人がいると気が散ると言って、普通の社員が仕事をしている時間に席にいることが少ない。
今日も退社時間もせまった先ほどやってきて、部下の失態を知るなりの怒鳴り声だった。
ただの二世なら不満も出ようが、100年に一人の天才と言われるほどの企画力と営業力をもっている阿含に声を掛けてもらえるだけで幸せという人間の方が多い。
そのなかで仕事の能力を買われている自分は特別な域だろう。
うれしくはないが。

 


階の人間が全員退社したことを確認して、阿含がセキュリティーに連絡をする。
「あ゛ー俺。残業すっから誰も来させんな」
これでエレベーターもこの階をスルーする。
机の前に立って指示を待っていた俺に阿含がカギを投げつけた。
「じゃ、これから雲子ちゃんタイムな」
阿含専用に作られている仮眠室のカギを受け取って背を向けた。
「早くしろよ」
頷く気にもなれないので、黙って部屋を出る。


仮眠室、という名前がふさわしくない広くはないが堂々としたベッドやスツールの置かれた部屋で、ウォーキングクローゼットを開ける。
きちんと吊された女性用の白い半袖ブラウスに紺色のスカートを手に取った。
他は派手派手しい色柄のシャツやスーツなので、本来地味な服が異様に目立つ。
ネクタイの結び目に手をかけてシュルッとほどき、きっちり上まで止めているワイシャツのボタンを外す。
シャツもズボンも脱いで、残ったのはサーフパンツだけ。
以前はボクサータイプを身につけていたが、阿含からこのタイプにするように言われて変えた。
阿含がわざわざ海外から取り寄せたブラウスを羽織るが、いくら大きいものを選んでも筋肉質な体格の自分が着れば上手くボタンがとまらない。
仕方なく第2ボタンまではとめることを諦めた。
スカートも大きめではあるが細身に作られている型のせいでどうにも足にひっかかる。
なんとか腰まで持ち上げて左横でファスナーを閉じスナップをかけた。
太股に布が張り付くようで、歩くにも窮屈だ。
女性の足ならばいくらか余裕があるだろうが、よくもまあこんな動きにくい服で軽快に仕事をこなしていると今更ながら尊敬する。
脱いだ服はドレッサーの椅子にかけ、部屋の扉になぜか貼り付けてある大きな鏡を見ないようにしながら部屋を出た。


職場に戻ると阿含は真面目にパソコンに向かっている。
戻ってきたことも気にかけていないようだ。
自分の机に座って積み上げられている書類に向かう。
これで気がすめばいいのだが。

 


俺は別に喜んで女装をしているワケじゃない。
阿含と初めて会ったのは、まだ3ヶ月ほど前の異動の歓迎会だった。
俺はもちろん次期社長で天才的能力の金剛阿含を知っていたが、まわりを取り囲まれている彼とは特にその時は接触がなかったと思う。
そのはずだが、なぜか次の日起きたときには全裸で彼の横で寝ていた。
おそらく飲まされすぎた自分を引き取ってくれたのだろうと礼を言うと、おもむろにデジカメを見せられた。
「なっ」
どうみても男のイチモツを口にくわえている俺。
大股を開かされて勃起した姿をさらされている俺。
四つんばいで誰かのモノをケツに突っ込まれている俺。
絶妙に相手の顔は見えない。ただ、俺の顔はしっかりわかる。
「あ゛ーこんな写真、会社にバラ巻かれたら大変だ。なぁ、雲子ちゃん?」


それから阿含は折に触れて俺にいろいろな要求をしてくるようになった。
俺は断れない。
会社を辞めよう、と思わなかったわけではないが、今まで築いてきた信頼や仕事のやりがい会社の待遇の良さにどうしても踏ん切りがつかない。
阿含のことも一緒に仕事をすればするほどそのすごさに尊敬が募って、一緒に仕事をすることの楽しさの方が先に立った。
だからといって、コレを喜んでいるワケじゃないが。

 


「おい、雲子」
「なんだ」
パソコンから目を離さずに返事を返す。
「茶」
その言葉に手を止めた。
画面の隅のデジタル表示を確かめると、始めてから2時間経っている。
黙って立ち上がって、レストルームで自動給茶器からプラスチックカップに煎茶を注ぐ。
コーヒーもあったが、茶、と言われたのでこちらがいいんだろう。
自分の分も入れて、トレイに乗せて運ぶ。
「ほら」
椅子の背もたれに大きく背を預けて仰け反るように資料を見ていた阿含にトレイごと差しだした。
ちらりとこちらを見た阿含は資料に視線を戻して手を伸ばしてくる。
手がカップに触れた途端、大きくカップは傾いて落ちた。
あ、と思うヒマもなく、カップは阿含に向かって茶をまき散らし、床に転がる。
「あーあ」
阿含が間延びした声を上げる。
狙い澄ましたように、カップの中身は阿含の股間にぶちまけられていた。
「どうすんの?コレ」
資料を右手に持ったまま、左手の人差し指がそこを指す。
雲水は溜息をついて、トレイを阿含のデスクに置いた。
「どうすればいいんだ」
「お、雲子ちゃん素直ぉ」
「で」
「拭けよ」
「雑巾を持ってこよう」
「ざけんな。てめぇの履いてるモンで拭け」
俺の足を包んでいるだけで張り伸びている布に、阿含の服を拭く余裕があるとは思えないが、命令ならば従わなければならない。
なんとかスカートの前をつかんで腰をかがめて阿含の足の間を拭く。
ポリエステルの布地が染みこんでいく水分を吸い取れるわけもなく、上からただ押さえるだけではなんの意味もなかった。
いや、押さえるたびに阿含の股間が硬度を増している。
「あ゛ー下にも染みてきた。どうすんだよ」
手を放して、阿含が大きく広げた足の間の床に膝をつく。
ベルトに手をかけバックルを外す。
スナップとファスナーを下ろすと、阿含が軽く腰を上げた。
奥歯を少し噛んで間をおく。
思い切って阿含のズボンを足の付け根まで下ろす。
阿含の言うとおり、ボクサーパンツの前面には水が大きく染みていた。
その先はどうすればいいかわからず、阿含を見上げる。
「吸い取れよ」
噛み締めた奥歯が軋む。
逡巡していると、阿含が片足を持ち上げて軽く背中を蹴ってくる。
大きく息を吐いて、ゆっくりと膨らんでいる股間に口を寄せた。
濡れた布の感触が気持ち悪い。
それ以上に下から感じる熱と塊が気持ち悪かった。
ただ口を当てているだけでは阿含の要求を満たさない。
少し口を開いてちょうど口に収まる部分、考えるまでもなく阿含の竿、を横から加えるようにしてちゅぅっと吸い上げる。
それだけで阿含がまた固くなったようだ。
そこだけに同じことを繰り返していると、頭の上から声がかかる。
「濡れてんのそこだけじゃねぇだろ」
唇を曲線に沿って移動させ、上から順に吸い上げながら下に降りる。
布の下から液体が染み出てきても、阿含は止めさせない。
だんだん息が上がってきたこっちに比べて、阿含は変わらず資料を読み時折メモをとっている。
「あっ」
下から阿含を観察するように見上げていると、突然阿含の足が俺の足の間に割り込んできて、中心を押さえつけてきた。
「余裕あんじゃねぇか。真面目にやれよ」
遮るものが薄布一枚という条件は阿含と変わらないはずなのに、指先で強弱をつけていじられると、体が震えて先ほどまでの姿勢を維持できない。
口で吸わなくてはいけないのに、阿含の足の指ばかりに気を取られて、顔で股間を押しつけるのが精一杯になってくる。
「楽しんでんなぁ」
喉の奥で笑いながら阿含が空いている手で自分の下着を下ろし、勃ち上がっているモノを眼前にさらしてきた。
足の動きは止められてしまい、腰を床に擦りつけたいが、スカートが邪魔をしてそれもできない。
我慢できずにスカートを足の付け根までまくり上げて、自分のモノを右手に握りながら、ゆっくりと阿含を直接口に含んだ。
「すげぇカッコ」
そう言いながら、阿含の携帯のフラッシュが光る。
ああ、また写真を撮られた。
写真を取り戻すどころか増えるばかりだ。
竿を上から下から舐め上げ先端を吸うのを繰り返していると、阿含が頭を押さえてきた。
口を開けてすべてを飲み込むと、突然腰を振ってのどを突き上げてくる。
異物を吐き戻そうとするが許されるわけもなく、阿含の腰に手をあててその動きに合わせるしかなかった。
喉の奥に奔流を感じて逃げようとする頭を更に強く固定される。
「げぇっごほっ」
「あー雲子ちゃん、大丈夫?お茶、飲めば」
噎せ返っている俺の頭に、阿含が冷たくなった茶を注いできた。
坊主頭にそって流れた茶は、すぐに着ている白いブラウスに薄緑の模様を作る。
「あー悪ぃ」
一つも悪いと思っていない声。
「じゃあ、今度は俺がキレイにしてやるよ」
そう言いながら床に座り込んでいた俺の脇に手を入れて、易々と持ち上げデスクに座らせた。
薄いブラウスにできた水の流れに透ける乳首に阿含が噛みつく。
「ぁあっ」
「あ゛ー吸い取るんだったな」
そのまま強く吸い付かれ、大きく仰け反った。
両腕は阿含によってデスクに固定され、まくり上げたままのスカートから見えている俺には手も触れられない。
いつまでも同じところで同じことを繰り返されて、腰が震えることを止められなかった。
「あ、阿含っ」
「なーに」
言いながら顎の下に吸い付かれる。
「さ、触って」
「どこに」
「お、俺」
「触ってんだろー」
「違っ」
「じゃーどこよ。言い方教えただろ」
そう言って阿含が俺から手を放した。
おもむろに携帯をいじって、動画を再生させる。
見たくない、聞きたくない。
顔をそらして阿含の望む答えを言った。
 

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